* 技術レポート *
第1回 クラウド・コンピューティングとは? 【2/3】
さて、『クラウド・コンピューティング』を謳うサービスはどれほどあるのでしょうか、ここにざっと紹介したいと思います。
クラウドを利用したサービスとしては、米Googleのオンラインアプリケーション「Google Apps」、グリーン家電普及促進事業の「エコポイント」申請サイト、レシピ検索サイトの「クックパッド」が存在し、クラウド環境の提供としては、Googleの「Google App Engine」、米Amazon.comの「AmazonEC2/S3」、米salesforce.comの「Force.com」などが挙げられます。『クラウド・コンピューティング』のサービスは他にも多数存在しています。
Google App Engine |
Amazon EC2 |
Force.com |
|
---|---|---|---|
開発言語 |
Java,Python |
任意 |
apex |
実装可能OS/DB |
独自OS/独自DB |
任意OS/DB |
独自OS/オラクル製品ベースのDB |
サーバの提供形態 |
アプリケーションの処理負荷に応じて最適化 |
仮想サーバとして提供 |
アプリケーションの処理負荷に応じて最適化 |
課金体系 |
利用時間に応じて課金 |
利用時間に応じて課金 |
ユーザー数に応じて課金 |
「Google Apps」はGoogleが提供するオンラインアプリケーションサービスで、「Gmail」や「Googleカレンダー」「Googleドキュメント」などをパッケージ化したもので、「Standard Edition」は無料で利用できます。
「エコポイント」は「Force.com」の環境を使用し、エコポイントの受付システムを構築しました。サービス内容としては、「エコポイントの登録を受け付け、交換申請用の申請書を作成する」「利用者がウェブサイトのフォームに氏名や住所などの個人情報と、購入した商品の情報、獲得したエコポイントを登録する」といった内容で、システムのサービス内容としては、一般的によくあるものですが、このシステムを僅か3ヶ月で完成させたところに『クラウド・コンピューティング』の凄さがあります。
従来であれば、サーバ、サーバを置くマシン室、OSや各種ソフトウェア、回線などのインフラ整備、そしてシステム開発と莫大な時間とお金がかかっていましたが、salesforce.comの「Force.com」を使用することで、サーバなどのハードや回線などのインフラ整備が必要なくなり、開発期間の短縮により、システム導入の大幅なコストダウンに成功しています。
「クックパッド」は「AmazonEC2/S3」を採用していますが、こちらはレシピの検索サイトは自社サーバで運営しているそうです。ではどこに「クラウド」を利用しているのでしょうか?「クックパッド」では利用者の膨大な検索ログからユーザー情報別、月別、地域別などに加工するために、「クラウド」を利用していますす。
「AmazonEC2/S3」とオープンソースで大規模な分散処理を可能とする「Hadoop」と呼ばれるソフトを利用しており、1年間のログからデータを加工するのに従来の方法だと7000時間かかるものを、「AmazonEC2」の50台の仮想マシンと「Hadoop」で各仮想マシンに処理を分散することで30時間に短縮しているそうです。
また、「AmazonEC2/S3」は仮想マシンの時間貸しを行っていて、必要な時に、必要な時間だけ、必要な台数を利用することができ、その使用した台数、時間によって課金されていくしくみで、処理を必要としない時は使用料が不要なので、処理時間やログ加工用サーバの導入などが不要となり、こちらも大幅なコストダウンに成功しています。